筋鉄御門(すじがねごもん・国重要文化財)
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本丸正面にそびえる正門で、向かって左に渡櫓(わたりやぐら)、右に多門(たもん)を連接させる、後代の枡型多門(ますがたたもん)の型をとらない初期様式のものである。本瓦葺(ほんかわらぶき)、入瓦屋造り(いりもやづくり)で伏見櫓と同様に柱痕が確認できる。内部は3間、10間半で、更に南北にそれぞれ土間を持ち、門の真上には本丸防御のための機構として矢狭間や鉄砲狭間ではなく格子窓を備える。
筋鉄御門で特筆すべきところは、その名前の由来となった、柱の角と扉に数十本の筋鉄を、やはり鉄製の鋲で打ち付けている点である。筋鉄御門を潜ると本丸であり、正面には福山藩において最も重要な本丸御殿がある。謂わば福山城にとって最後の砦であるため、それだけ強固に作られている。また2枚の大扉は柱と梁は欅材である。
更に大扉は常には開かず、普段は向かって左側の潜戸を用いたと伝わり、また戦前の記録では瓦には全て水野家家紋である“抱き沢瀉(おもだか)紋”が施されていた。その他福山築城に際して、伏見城から移築したものと伝わる。
1933年(昭和8年)、御湯殿・伏見櫓と共に国宝に指定される(1950年(昭和25年)の文化財保護法施行により現在は国重要文化財)。
※内部非公開
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